近年、仕事や職場にストレスを感じている人が増えており、6割超の労働者が「強い不安、悩み、ストレス」をもっています。ストレスが原因で、うつ病などの心の病気(メンタルヘルス不調)に陥って、休業、退職、さらには自殺に追い込まれる方も少なくありません。
会社には、従業員の心の健康を守らなければならないという「安全配慮義務」が厳しく問われるようになっており、従業員がうつ病等になれば会社が責任を問われる時代に変わっているのです。
従業員の一人がメンタルヘルス不調で長期休職となってしまったら・・・。長期休職者が出てしまうと、他の従業員にも大きな負荷がのし掛かります。また、安易に退職させてしまうのは、労使紛争の火種になる上、人材育成に費やした費用、時間、給料、労力等、コスト面でもマイナスです。
メンタルヘルス対策を講じることで「従業員を大事にする働きやすい会社」との認識につなげ、社内の士気は高まり、従業員の満足度も高まります。
では具体的に、どのようにメンタルヘルス対策を進めて行けばいいのでしょう
①衛生委員会等における調査審議
<労働安全衛生法 18条1項>
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
三 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
四 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
衛生委員会の付議事項について
衛生委員会の付議事項については、労働安全衛生規則22条で1から11号まで規定されています。このうち、10号がメンタルヘルス対策に関する規定です。
また、9号の長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止についてもメンタルヘルス対策に関連する項目となり、労働基準監督官または労働衛生専門官からメンタルヘルスに関して文書により命令、指示、勧告又は指導を受けていれば、これについてもメンタルヘルスに関しての討議事項となります。
<労働安全衛生規則22条1号~11号>
- 衛生に関する規程の作成に関すること。
- 法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
- 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
- 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
- 法第57条の3第1項及び第57条の4第一項の規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
- 法第65条第1項又は第5項の規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
- 定期に行われる健康診断、法第66条第4項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第66条の2の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
- 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
- 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
- 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
- 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。
労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関することとは具体的には、次のような内容になります。
- メンタルヘルス担当者の決定等実施体制の整備について担当者の決定、変更に関すること。
- メンタルヘルス対策実施計画の作成
(ア) 実態把握の方法、結果について
(イ) メンタルヘルス研修計画の作成について
(ウ) 休職規定の整備について
(エ) 職場復帰支援マニュアルの作成について
(オ) 個人情報の保護及びメンタルヘルス不調対象労働者の不利益取扱防止対策- メンタルヘルス不調者実態調査について(長期休職者)
(ア) アンケートの実施
① アンケート項目
② アンケートに当たっての個人情報の保護及びメンタルヘルス不調対象労働者の不利益取扱防止対策
(イ) 職務に関するメンタルヘルス要因の洗い出し
長時間労働・業務負荷・パワハラスメント・セクシャルハラスメント- 従業員に対するメンタルヘルス教育の実施
(ア) 実施状況
① 新入社員教育
② 労働者のセルフケア教育
③ 管理職研修
(イ) 今後の教育実施計画について- 相談体制の整備
(ア) 相談窓口の設置 相談者の選定・相談者の教育(カウンセリング手法・傾聴)
(イ) 外部相談機関- 健康診断実施結果からの問題点について
有無および、メンタルヘルスに関し不定愁訴・頭痛・睡眠が充分取れない等の訴えについて。- 長時間労働者に対する医師による面接指導結果の説明と具体的対策
(ア) 対象労働者の健康状態について
(イ) 原因の洗い出しについて 労働時間、作業効率、人員配置、業務量の問題か。
(ウ) 面接結果と具体的対策(労働時間短縮・業務の軽減)、管理者への通知状況について- 労働基準監督官または労働衛生専門官からメンタルヘルスに関して文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項について
ストレスチェック制度に関し、衛生委員会等において調査審議すべき事項としては、次に掲げる事項を含めるものとしています。
① ストレスチェック制度の目的に係る周知方法
② ストレスチェック制度の実施体制
・実施者、共同実施者・実施代表者、その他の実施事務従事者の選任、明示等。
③ ストレスチェック制度の実施方法
・使用する調査票、高ストレス者の選定基準、ストレスチェックの実施頻度・時期、面接指導申出方法等。
④ ストレスチェック結果に基づく集団ごとの集計・分析の方法
⑤ ストレスチェックの受検の有無の情報の取扱い
⑥ ストレスチェック結果の記録の保存方法
⑦ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析の結果の利用目的及び利用方法
⑧ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析に関する情報の開示、訂正、追加及び削除の方法
⑨ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析に関する情報の取扱いに関する苦情の処理方法
⑩ 労働者がストレスチェックを受けないことを選択できること
⑪ 労働者に対する不利益な取扱いの防止
②「心の健康づくり計画」に盛り込む内容
- 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
- 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
- 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
- メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
- 労働者の健康情報の保護に関すること
- 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
- その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること
③ 実行するための体制整備
- 産業医(50人以上の事業場は選任義務)
- メンタルヘルス推進担当者
- 衛生管理者(50人以上の事業場は選任義務)
- 人事・総務 等
メンタルへルス推進担当者とは
その役割
- 心の健康づくり計画の策定・労働者への周知・実行状況の把握の実務
事業場内体制の整備 安全衛生委員会の活用 4つのメンタルヘルスケアの推進 職場環境改善等 - セルフケア、ラインによるケアを推進するための労働者教育、管理監督者教育の計画・立案・実施・評価の実務労働者等に対するセルフケア教育の内容
○ メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
○ メンタルヘルスケアの基礎知識
○ セルフケアの重要性
○ ストレスへの気づき方
○ ストレスの予防・対処の方法
○ 自発的な相談の有用性
○ 事業場内の相談先 など管理監督者に対するラインケア教育の内容
○ メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
○ 職場でメンタルヘルスケアを行う意義
○ メンタルヘルスケアの基礎知識
○ ラインの役割
○ 職場環境等の評価・改善の方法
○ 労働者からの相談への対応の仕方
○ 事業場内産業保健スタッフ等との連携の方法 など - 事業場内のメンタルへルスに関する相談窓口
- 事業場外資源との連携の窓口
事業場外の様々な資源を活用して、メンタルヘルスについての知識や、専門家からの助言などを得る窓口としての役割
メンタルヘルス推進担当者にふさわしい人
- 衛生管理者や保健師などが望ましいが、小規模事業場では人事労務管理スタッフが担当するケースが多い
- 教育や相談そのものを直接担当することまでは求められない。事業場内で行われるメンタルヘルス対策がスムーズに推進されるための調整役
- 事業場の全体的な流れや対応するさまざまなルール化を掌握していること。事業場内、事業場外の関係者との連携がとれる人
④ 必要な経費の確保
メンタルヘルス対策は、計画的に継続的に実施することが必要です。そのためには、毎年度の事業計画の中で、ハラスメント対策とともに予算取りをする必要があります。
- 研修費用
- 相談窓口費用
- ストレスチェック費用
- 諸規定見直し費用
⑤ 計画を実行に移すための具体的な準備
心の健康づくり計画に則り、メンタルヘルス研修の準備(講師の選定・実施時期等)
相談窓口の運用状況の確認、活用の推奨、諸規定の見直し等
社労士まつしたによるメンタルヘルス対策支援
「対策を講じているけれど、不調者の減少につながらない・・・」
「メンタル不調が疑われる社員がいるが、どうしたらよいかわからない・・・」
このようなお悩みの事業者様いらっしゃいますか?
社労士まつしたは、メンタルヘルス対策促進員での100社以上の相談実績に基づき、メンタルヘルス問題に係る対策支援をいたします。
貴重な人材が、メンタルヘルス問題で退職することのないよう、快適職場づくりのよきパートナーとして3つの支援をご提案いたします。
① メンタルヘルス対策総合支援・・・
メンタルヘルス対策を講じたことのない事業者様、対策を講じているものの、効果が出ていない事業者様向きのサポートです
(実施期間2~3か月間)
② メンタルヘルス研修支援・・・
メンタルヘルス対策のための研修の実施をご希望の事業者様向きのサポートです
(実施期間1か月間)
③ メンタルヘルス問題解決支援・・・
メンタルヘルスの問題が出ている事業所のための解決に向けた支援サポートです
(実施期間1~6か月間)
① メンタルヘルス対策総合支援
1.現状分析
●職場環境の評価・・・担当者からのヒヤリング実施(90分程度)
2.改善支援や社内研修の企画提案
●メンタルヘルス対策規程等の整備支援 (職場復帰支援プログラム・ストレスチェック実施規程・指針などの策定支援含む)
●ストレスチェック実施体制づくりの支援(担当者へのフォロー)
●職場の実情にあわせた研修の実施(一般向け、管理監督者向け 各90分づづ)
価格・・・1、2のご提供で220,000円(税込)
② メンタルヘルス対策研修支援
1.現状分析
●職場環境の評価・・・担当者からのヒヤリング実施(60分程度)
2.社内研修の企画提案
●職場の実情にあわせた研修の実施(一般向け、管理監督者向け 各90分づづ)
価格・・・1、2のご提供で110,000円(税込)
③ メンタルヘルス問題解決支援
1.現状分析
●職場環境の評価・・・担当者からのヒヤリング実施(120分程度)
2.担当者へのフォロー・メンタルヘルス不調者への対応
●メンタルヘルス不調者の実情に応じ、休業のしおり作成、傷病手当金作成サポート、担当者とともに定期的な面談対応
価格・・・1、2のご提供で月額55,000円(税込)
※価格は目安であり、事業場の人数や実情に応じその都度見積もりを提示させていただきます。